シロアリについて
シロアリは住宅に使われる木材や畳などを食べることがあります。その食害の範囲や部位によっては、構造的な問題(耐震性の低下など)を引き起こす可能性もあります。したがって、住宅を提供し、住宅のリフォームを行っている当社の役割として、当然シロアリへの対策をきちんと考えておく必要があります。以下に、シロアリの性質などを解説しながら、当社のシロアリ対策に対する基本的な考え方を述べます。
シロアリ対策の整理とポイント
シロアリ対策には次のような3つの大きなポイントがあります。
- 被害に至るまでの予防
- 被害を最小限に抑える工夫
- 被害に遭ったときの駆除などの措置
これらを総合的に考えていくことが、適切なシロアリ対策となります。
1.被害に至るまでの予防
シロアリの被害のほとんどは、住宅に使われる木材にシロアリが到達したときから始まります。具体的には「土台」「束」「大引き」などです。シロアリをここまで到達させなければ、シロアリによる被害は抑えられるわけです。このために行われる措置は次のように分類できます。
- 物理的にバリアをつくる
- 土壌に薬剤処理を行う
また木材(土台など)への薬剤処理が一般的に行われていますが、これも「予防」の効果があると考えてよいものです。シロアリは齧った部材に強い違和感を感じたり、それを食べた仲間が死ぬことで、その場所での活動を停止する性質があると考えられているからです。
ここで極めて重要なことは、どのような予防措置も「完璧」ではないということです。何らかの策が「完璧」であると過信してしまうと間違いを引き起こします。もちろんできる限りの予防措置は講じるべきですが、それだけに頼らない姿勢が重要です。
2.被害を最小限に抑える工夫
予防策に完璧はないという「事実」を考えたとき、被害を最小限に抑える工夫が必要になります。これには次のような事柄が挙げられます。
- 木材に薬剤処理を行う
- シロアリに強い樹種を使う
- 被害やシロアリの活動が早期発見できるようにする
木材に薬剤処理を行うことは予防的な役割とともに、被害を抑える働きをします。またシロアリに強い樹種を使うことも同様です。
ここでとくに重要になってくるのが、3.の「早期発見」という考え方です。早い時期に発見できるほど駆除などの対策が容易になり、また改修工事などの金額も抑えられます。具体的には、「定期的な点検を行う」「床下のあらゆる場所が目視できるようにしておく」というような内容になります。
3.被害に遭ったときの駆除などの措置
シロアリの被害が確認されたときには、その被害の状況によって「部材を交換する」「駆除する」という措置が必要になります。とくに構造的に重要な役割を果たしている材料が被害に遭ったときには、慎重で確実な措置が必要です。また当然、被害を広げたり、被害の再発を防止するために確実に駆除しなければなりません。
当社のシロアリ対策における基本的な考え方
予防や被害を抑えるために薬剤は有効な措置のひとつですが、こうした薬剤には室内の空気を汚染する恐れがあるものもあるため、まずは「薬剤に頼らない」というスタンスで臨みます。従って、予防措置としては「物理的にバリアをつくる」ことを基本に考えます。また被害を最小限に抑えるために、「早期発見のための措置や態勢」を基本に置きながら、シロアリに強い樹種を使うなどの対策を行います。
基礎コンクリート打設時の工夫
基礎コンクリート打設の際に時間差により生じる継ぎ目からは
シロアリの侵入が懸念されます。弊社では耐圧盤と立上りを同時に打設することによって継ぎ目を生じさせない工夫をしています。
木造在来軸組工法の基礎 耐圧盤と立上りが別打ちの為、継ぎ目が出来ます。
木造ドミノ工法の基礎 耐圧盤と立上りのコンクリートを一体打ちしている為、継ぎ目がありません。
自然塗料の工夫
薬剤を使用しない、自然素材から作られた防蟻・防腐材を塗布しています。
べた基礎内部には、防蟻処理用にヘルスコキュア(粉末木炭)を塗布しています。
土台にもヘルスコキュアを塗布します。さらに、土台にはシロアリに強いヒバ材を用いています。
また住まい手から薬剤を使ってほしいというご要望があったとき、予防などに薬剤を使うことが合理的であると判断したとき、実際の駆除を行うときなどについては、薬剤の安全性を確認し、その内容を住まい手にきちんとお伝えして使うようにします。
とくに駆除については、薬剤を使わざるを得ないわけですが、薬剤を大量に使うような駆除方法は避け、綿密な調査に基づく、シロアリの生態を利用した方法を取るようにします。このことによって、安全性と確実に駆除することの両立を図ることができると考えます。